西遠鉄道の線路跡

～西遠鉄道の線路跡～

　1930年（昭和5年）の地図をもとに、現代の地図に西遠鉄道の路線を書き込みました。西遠鉄道の路線がどのように敷かれていたか、お分かりいただけると思います。

　このコーナーでは、西遠軌道の線路跡を、起点の貴布禰（きぶね）駅跡から辿ります。･･･といっても、廃線から既に80年以上も経過し、駅や停留場の痕跡は皆無です。一部は地図から推定していますので、正確さを欠くかもしれません。あらかじめご了承の上、ご覧下さい。

　西遠鉄道の基点、貴布祢駅は、遠州鉄道西鹿島線の浜北（旧、遠州貴布祢）駅の西側にあって、西鹿島線と直角に線路が敷かれていました。

　写真中央の大きなヒマラヤ杉の辺りに駅舎があったと推定されます。木の右手は現在の浜北駅、左手の茶色い建物は、なゆた浜北です。国立公文書館の資料によれば、軌道自動車を導入した際、ターンテーブルを建設したとのことで、駅舎の西側にあったと推定されます

　貴布祢駅からの線路は、北西に向けて敷かれていました。線路跡は、細い道路として残されています。この場所は、遠州鉄道西鹿島線の日清紡績浜松工場専用線と同じ場所で、両線が一時期並行していたと推定されいます。

　さらに線路跡を進むと、歩道と道路が別れる場所に出ます。ここは、西遠鉄道と日清紡績専用線との分岐点で、右方向にカーブする道路が西遠鉄道の線路跡、一方、歩道の部分が日清紡績専用線跡です。

　最初の停車駅である西山停留場は、貴布祢駅の北方約800ｍの地点にあったと推定されます。

　位置は、廃線後の区画整理によってはっきりとしませんが、現在のプレ葉ウォーク浜北の駐車場出入口から、約100ｍ東方の米穀店がある付近と推定されます。

　二番目の停車駅である小林停留場は、西山停留場の北方約300ｍの地点にありました。現在、コスモ石油のガソリンスタンドがある辺りと推定されます。

　なお、遠州鉄道西鹿島線にも同名の駅がありますが、関連はありません。

　三番目の停車駅である下新原停留場は、写真の場所にあったと推定されますが、付近に目印となるものが乏しく、位置の特定は困難です。

　四番目の停車駅である中新原停留場は、線路跡の道路が国道152号線と交わる交差点付近にあったと推定されます。現在のスズキ自動車販売浜北営業所の付近です。

　写真は、貴布祢駅方向（北から南）を写しています（信号待ちを利用して車内から撮影）。

　五番目の停車駅である上新原停留場は、二階建てのベージュの建物付近（対向車の辺り）にあったと推定されます。

　終点の一つ手前の段ノ下停留場は、写真の理容店付近にあったと推定されます。この辺りは、現在でこそ都市化が進んできていますが、西遠鉄道があったころは、一面農作地帯だったようです。

　終点宮口駅は、宮口の町の南端にありました。現在は駅があったことを示す標識と、西遠鉄道を紹介する看板が立っています。なお、看板には、旧路線名の「西遠軌道」と書かれています。

　ちなみに、看板に3枚の写真が表示されていますが、右上の人が大勢写っている写真が、現存する西遠鉄道唯一の写真です。